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吸引法とソウハ法

ソウハ法と吸引法を比較して意見を述べます。この二つの方法の手術操作による危険度の差はありません。しかし、吸引法は消毒方法において、器械に一部血液や組織が付着したままになり易く、不潔性・感染性が高いので、日本の多くの医師はソウハ法を行うことが多いようです。

ソウハ法と吸引法の違い

  ソウハ法 吸引法
手術方法 特殊なハサミ状器具(胎盤鋏子)を用いて手によって子宮内容物をかき出す 器械で陰圧をかけ金属棒を子宮内に入れ、吸引をかけることで吸い出す
特徴 日本の多くの大学はこの方法を用いる90%以上の医師はこの方法である 胞状奇胎など特殊な病態のときに主として使用することが多い
メリット
(長所)
器具がシンプルであり、感染などのトラブルを起こしにくい 手術時間が早い
デメリット
(短所)
子宮筋腫や子宮が変形していると、手術に時間がかかる 洗浄、滅菌に手間がかかる。器具を正確に滅菌しないと感染症を引き起こす原因を作る滅菌・消毒時間に手間がかかるため、1日に2件ほどしか手術数ができない

中絶手術において、ソウハ法がよいか 吸引法がよいかは、経験豊かな医師であれば手術による後遺症発生に、差は全く出ません。手術方法が二つある理由は出身大学で慣習的に決まります。

多くの大学病院で主として行われる手術法はソウハ法です。中絶手術自体、差がでるような難しい手術ではないので、手術方法による差を出すことは困難です。両方とも簡単な手術方法のため、その手術方法の違いで手術後に後遺症がでるとか、将来的に妊娠しにくくなるなどのようなトラブルの原因や差がでることはありません。もし、トラブルが発生するとしたら、器具の消毒が不完全な場合に生じることが多いです。

つまり、器具に対する慣れの差とは例えて言うと、右ハンドルと左ハンドルの車を運転するのではどちらが安全かといったレベルの話であります。慣れていたり、最初からその車に乗っていれば差はでないように、要は慣れているかいないかの問題であります。

最近、ホームページでソウハ法は頻繁に子宮を傷つけたりするように書かれて、吸引法のほうが安全のように思われるような書き方をしているものがありますが、吸引管も細い金属であり、危険性は同様に存在します。もし、本当にソウハ法が危険であるならば、ほとんどの産婦人科医がその方法で手術をするということはないでしょう。

当院の方法

原則ソウハ法です。なぜならば多くの医師がその方法に慣れており、また手術件数が多いため消毒滅菌に制限のある吸引方法は手術数の多いクリニックには向かないためです。

手術方法にて後遺症、副作用の差はなく、むしろ清潔さに依存します。ソウハ法の器具はすべて手術のたびに洗浄、滅菌されますが、吸引法は一度長いチューブを通ってビンに回収されます。その回収ビンとチューブとの接続部や器械に血液や組織の一部が残り付着する率が高いため(吸引器は毎回洗浄したり、滅菌しないので)不潔な状態がどうしても否定できません。少しでも感染を起こす可能性のあることを避けるために吸引法は行っていません。